Oracle Cloud Guard(OCG)

2025-03-02

Oracle Cloud Guard(OCG)

1. Cloud Guard の概要

Oracle Cloud Guard(クラウド・ガード)は、Oracle Cloud Infrastructure(OCI) の セキュリティ監視、脅威の検出、対応を自動化する セキュリティ管理ツールです。

  • OCI のクラウドリソースをリアルタイムで監視 し、セキュリティリスクや脆弱性を特定する。
  • 発見された問題に対し、自動修正 または 手動での対応 を可能にする。
  • 無料で利用可能(一部高度な機能は有料)。
  • OCI Security ZonesOracle Security Advisor などと連携可能。

2. Cloud Guard の構成

Cloud Guard の基本構成は 「ディテクタ(検出)→ 問題(記録)→ レスポンダ(対応)」 の 3 ステップで動作します。

(1) ディテクタ(Detector)

OCI 環境の異常を監視し、セキュリティリスクを検出 するコンポーネントです。
OCI のリソース(Compute、Object Storage、IAM、ネットワークなど)を継続的にスキャンし、問題がないかを評価します。

ディテクタの種類

ディテクタは大きく 2 種類 に分かれます。

種類 役割
活動ディテクタ(Activity Detector) OCI のユーザーアクティビティを監視し、不審な動作を検出する - 不正なリージョンからのログイン
- 予期しない権限変更
- 高頻度の API リクエスト
構成ディテクタ(Configuration Detector) OCI のリソース設定を監視し、セキュリティリスクを検出する - 公開ストレージバケットの検出
- 過剰なアクセス許可のセキュリティグループ
- ログ記録の無効化

(2) 問題(Problem)

ディテクタが異常を検出すると、Cloud Guard はその問題を 「問題(Problem)」 として記録します。

問題の特性

カテゴリ

  • IAM(アイデンティティ管理の異常)
  • ネットワーク(異常なトラフィックや設定ミス)
  • ストレージ(公開バケットなど)
  • コンピュート(不適切な設定やアクティビティ)

重要度(Severity)

  • Critical(重大):深刻なセキュリティリスク(例:IAM アカウントの乗っ取り)
  • High(高):重大な問題(例:パブリックに公開されたバケット)
  • Medium(中):要注意の問題(例:セキュリティログの無効化)
  • Low(低):リスクはあるが影響が小さい(例:使用されていないリソース)

(3) レスポンダ(Responder)

問題が検出された際に、自動修正または手動で対応を行う コンポーネントです。

レスポンダの種類

レスポンダには 2 種類 があります。

種類 役割
修正レスポンダ(Remediation Responder) 自動または手動で問題を修正する - パブリックストレージバケットを非公開に変更
- 高リスクな IAM 権限を削除
- セキュリティグループの設定を適正化
通知レスポンダ(Notification Responder) 問題が発生したことを通知する - Cloud Guard ダッシュボードに警告を表示
- Email/Slack へ通知
- Oracle Logging へ記録

3. Cloud Guard の動作フロー

Cloud Guard は 「検出 → 分析 → 対応」 の 3 ステップで動作します。

ステップ 1: 検出(ディテクタ)

  1. 活動ディテクタが OCI の操作ログを監視
  2. 構成ディテクタが OCI のリソース設定を監視
  3. 異常が検出されると問題として記録

ステップ 2: 分析(問題の分類)

  1. 問題のカテゴリ(IAM, ネットワーク, ストレージ, コンピュート)を判定
  2. 問題の重要度(Critical/High/Medium/Low) を分類
  3. Cloud Guard が推奨される修正策を提示

ステップ 3: 対応(レスポンダ)

  1. 修正レスポンダが自動で修正 or 手動で対応
  2. 通知レスポンダが管理者に通知

4. 具体的なユースケース

(1) IAM の不正アクセス対策

シナリオ 対応策
問題: IAM ユーザーが異常なリージョンからログイン - レスポンダが管理者に通知
- 影響を受けたユーザーのアクセスを制限
問題: 予期しない IAM 権限の変更 - 自動で権限をリセット
- 管理者にアラートを送信

(2) ストレージのデータ漏洩防止

シナリオ 対応策
問題: Object Storage バケットがパブリックになっている - 自動でバケットをプライベートに変更
問題: 重要なログファイルが削除された - Cloud Guard による通知
- バックアップからのリストアを推奨

(3) ネットワークのセキュリティ監視

シナリオ 対応策
問題: セキュリティグループが全ての IP アドレスを許可している - 自動で適切な設定に修正
問題: 予期しないトラフィックの急増 - レスポンダが通知
- 影響範囲を分析するよう管理者に提案

5. Cloud Guard の料金

  • Cloud Guard の基本機能は無料
  • 追加の Security Zones 機能を利用する場合は有料

有料オプション

  • OCI Security Zones: クラウドセキュリティの強化ポリシーを提供(オプション)
  • 高度なセキュリティインサイト: 大規模な環境向けのセキュリティ監視機能

6. まとめ

項目 説明
サービス名 Oracle Cloud Guard(OCG)
目的 OCI のセキュリティ監視・リスク検出・自動対応
主要コンポーネント ディテクタ(Detector)、問題(Problem)、レスポンダ(Responder)
監視対象 IAM、ネットワーク、ストレージ、Compute、セキュリティ設定
対応アクション 自動修正(修正レスポンダ)、通知(通知レスポンダ)
料金 基本無料(一部機能は有料)

Cloud Guard を活用すれば、OCI の セキュリティリスクを自動的に監視・修正 でき、より安全なクラウド運用が可能になります!